x-sampling: Real-time Field Recording Ensemble

Reo Anzai / 安齋励應
Atsuya Kobayashi / 小林篤矢

制作の背景

1940年代、フランスの電気技師であったピエール・シェフェールは都市や自然における音を録音・加工を行う事で、具体音楽の表現を行なっていた。その後、ミュージックコンクレートの実験的な手法はテクノやプログレと呼ばれるポピュラーな音楽ジャンルでも応用されるようになった。

これらの音のサンプリングにおける問題点として、音の鮮度の低下が挙げられる。物体の物理的特性から生み出される音のサンプリングはその時間・空間の呪縛から解放する行為であると同時に、音の鮮度を失っている。

この作品は各地での行われたフィールドレコーディングの録音を、リアルタイムに再構築し再生する。これは実験的な手法提示であり、ミュージックコンクレートが現代の音楽手法に昇華されたように、いつか音楽と呼ばれるものを生み出す契機となる事を目指す。

手法の実現・実装

複数人数でのフィールドレコーディング環境とそれらのサウンドのリアルタイム音楽制作環境を繋げることは、Web上で録音用のアプリケーションを実装することで実現した。

GitHub: https://github.com/sfc-computational-creativity-lab/x-sampling-field-recording-ensemble

システム概要図
animation screenshot
Web経由での録音を行うコントローラー
Web Audio APIを用いて録音、p5.jsでUI実装

Web上で録音されたサウンドは、位置情報と共に即座にローカルコンピューターに送信される。そこで機械学習を用いたサウンドの解析(周波数特定とMobileNet v2ベースの環境音の41クラス分類)が行われた後、解析結果とサウンドデータ、位置情報はOpen Sound Control経由でローカルコンピュータ内のMax for Liveに送信され、サウンドが録音された場所が地図で示される演出とともに、MIDIのノートとの音程のマッチングや自動のエンベロープ変形を経て楽曲の一部へ取り込まれ、再構築される。

サウンドが録音された位置情報
リアルタイムでMaxデバイス上に表示される

Open Research Forum 2019ブースでは、リアルタイムでこちらのシステムを動作させて展示しています。デモ画面上に表示されているQRコードから、WEBレコーダーにアクセスし、リアルタイム・アンサンブルにぜひご参加下さい。